10月15日(土) 17:30-17:45
会場:センターホール
京都高等工芸学校 開校120周年記念特別展
「デザインの夜明け——京都高等工芸学校初期10年」
京都工芸繊維大学 美術工芸資料館資料館
館長 並木 誠士
2022年は、京都工芸繊維大学の前身校のひとつである京都高等工芸学校が開校して120年目の節目の年です。
明治35年(1902)に京都高等工芸学校は開校します。開校時には、色染科と図案科が、そして、一年遅れて機織科がスタートしました。京都の伝統工芸の近代化を理論的、技術的にバックアップすることが目的で、地元の伝統産業の担い手たちが設置を望んだ結果でした。
初代の校長は、東京帝国大学で応用化学を学び、わが国の工芸の近代化に大きく貢献したドイツ人化学者ゴットフリート・ワグネル(1831-92)の元で研究を続けた中澤岩太(1858-1943)でした。中澤は明治30年に開設された京都帝国大学理工科大学の学長になり京都に赴任しますが、その3年後の明治33年には、第三高等工業学校(のちの京都高等工芸学校)設立準備委員となり、開校準備の中心的存在として精力的に活動しました。明治33年には渡欧して、パリ万国博覧会を見学するほか、ヨーロッパの実業学校の視察をおこないました。パリでは洋画家で東京美術学校西洋画科の教授であった浅井忠(1856-1907)と出会い、開設する京都高等工芸学校の教員になるよう説得しました。
その後、京都高等工芸学校は順調に発展して、明治45年7月3日には、第8回目の卒業式に合わせて、開校10周年の記念式典を開催し、7月3日から7日まで、校内全体をつかって、収蔵しているポスターなどの標本類、参考品や生徒作品の展示をおこないました。その晴れやかな様子は同窓会誌である『済美』8号に詳細に記されています。京都工芸繊維大学美術工芸資料館では、この節目の年を記念し、展覧会「デザインの夜明け-京都高等工芸学校初期10年-」を開催いたします。 本展覧会では、同窓会誌『済美』の記述によりながら、記念式典の折に展示をされた標本類などを展示するほか、初期の教員がヨーロッパから購入してきたポスターやアール・ヌーヴォーの工芸品類などの参考品、開校時に学校を軌道に乗せるために尽力をした初代校長中澤岩太以下、2代目校長となった鶴巻鶴一(1873-1942)、図案科初代教員の浅井忠、武田五一(1872-1938)、牧野克次(1864-1942)、都鳥英喜(1873-1943)らの作品類、教員たちが深く関わっていた関西美術会に関連する作品、実習課題の成果としての生徒作品などを展示して、開校初期10年の京都高等工芸学校のあり方を振り返ってみたいと思います。
会期:2022年10月3日(月)〜12月17日(土)
休館日:日曜・祝日、10月22日(土)
企画・主催:京都工芸繊維大学美術工芸資料館
共催:美学会
協力:京都・大学ミュージアム連携
※開館時間
美術工芸資料館
15日(土)10:00~20:00
16日(日)10:00~18:00
附属図書館【ML連携企画】京都高等工芸学校120周年記念特別展示
15日(土)09:00~20:00
16日(日)09:00~18:00